【連載】CELADON:FLATのあるお宅 vol.1 高橋勇人様

CELADON:FLAT購入者インタビュー

——本日はよろしくお願いいたします。

まずは、簡単な自己紹介やお仕事、ご趣味などについて教えていただけますか?

 

勇人さん:

妻と子供2人の4人家族です。仕事は企業のバックオフィス業務をサポートする会社を経営しています。

自宅はオフィスとして兼用しているので、家の中で過ごす時間は長いです。

趣味はバスケで、子どもが通っている小学校の“PTAバスケ”に参加しています。

その学校に在籍している子どもの親が参加するバスケットボールサークルなのですが、高校の部活動以来、積極的に活動しています。

小学校対抗の大会もあるので、大会前は気持ちが高ぶりますね。

 

——もともとアートがお好きだったのでしょうか?

勇人さん:

興味はありました。ただ、のめり込むほどではなかったです。

家族とのレジャー中に美術館があれば入りますし、アートフェアがあれば観に行きますが、

例えば初めて観た絵に惹かれた場合でも、その絵が描かれた背景や歴史を調べることまではしなかったですね。

職業柄か、アートに造詣が深い経営者と接する機会が多く、美術品を見せていただくこともありますし、実際にギャラリーで購入する場にも同行することもありました。

そういった環境にいるのでアートに触れる機会はありますが、自分自身は執心していませんでした。

 

——RYUSENDO GALLERYやCELADON:FLATはどのようにして知ってくださったのでしょうか?

勇人さん:

妻がきっかけでした。妻がRYUSEND GALLERYディレクターのシゲ君(※田中成之)と知り合いで、今では家族同士で仲良くさせていただいています。

シゲ君は、(良い意味で)変態的な知識の持ち主で、アートに造詣の深い方ですよね。

熱量のあるシゲ君から話を聞くうちに、アートに対する距離感が縮まっていきましたね。

 

——実際に作品を購入し、生活のなかではどのように楽しまれていますか?

勇人さん:

ギャラリーでは、作品を展示する高さが決められていて、正面や横からの位置で作品を観ることが多いと思うのですが、

家に飾っていると、ギャラリーの場とは異なる位置から観ることができます。好きな時に好きな角度から眺められるのは面白いですね。

例えば、リビングでストレッチをする時や、子どもとゴロゴロしながら遊んでいる時に、斜めや下から眺めたりするのですが、

その時に今まで平面でフラットに見えていたものが、光の具合によって丸みを帯びて見えることに気付きました。

こういったことはギャラリーでの展示では気付けないですし、自分で好きな場所に飾っているからこそのアート鑑賞の楽しみ方だと思います。

ギャラリーの展示では、スポットライトの照明が当たっていて、貫入部分が引き立って見えていましたので、貫入が入ったシャープでクールな作品だとずっと思っていました。

しかし、自宅に飾って夜に眺めていると画面の凹凸や丸みがより見えてきて、ふくよかさや女性らしさを感じるようになってきました。

 

裕女さん(奥様):

自由な視点でCELADON:FLATの作品を見ると、自然と深呼吸をしてリラックスする時間となっています。

作品をみながらコーヒーを飲む日常が私の楽しみのひとときです。

 

——ギャラリーで作品を観るのとご自宅で作品を観るのとでは、見え方が変わりましたか?

勇人さん:

そうですね。ギャラリーだと作品を観て、無理に何か感じなければいけない、(作品に対してどう思うか尋ねられたら)答えられなければいけないみたいな緊張感がありますが、家ではそのような緊張が一切無いのでリラックスして観ることができますし、そうすると全然見え方が違ってくるんだなと感じました。

 

——リラックスして作品を観ているときのほうが、本来あるべき美術との向き合い方だと思います。

ギャラリーでの展示は作品にとっては晴れの場で、それを意識した展示になっている場合が多いです。

 

勇人さん:

ギャラリーの展示だと1作品だけ飾っているわけではないし、いろんなサイズのものが何枚も並んでいるので、1枚を鑑賞する時間というのは限られますよね。

 

——お子さんはこの作品とどのようなふれあい方をしているのですか?

勇人さん:

ギザギザの貫入を見て、「ワニのような口があるね」…みたいなことを言っていました。

他にも、私が「海みたいに見えるね」と言ったら子供が「空に見える」と会話をして、子どもと一緒に楽しんでいます。

ボール遊びしていても、この作品には当てないように少し気を遣ってくれたりして、子供ながらにこの作品がなんだか大切なものなのだということは分かっているようです。子供も受け入れられる愛らしい作品です。

——この作品は抽象性が高いゆえに、人それぞれ自由に想像を膨らませて楽しむことができるのかもしれません。

  そういうコミュニケーションが作品を通して生まれたことはとても嬉しく思います。

——ご自身のなかでは具体的に生活の変化はあったでしょうか?

勇人さん:

アートを鑑賞したときに、あまり難しく考えずに自分の思ったことを単純に感想として口に出していいものだと思えるようになりました。

それに、本屋さんに行って、アート関連のコーナーを見ると、ふと立ち止まるようになりました。アートに対するアンテナが増えたというか。

裕女さん:

リビングの空間が心地よいので、夫婦や家族で会話をする時間が増えた気がします。

 

 

——最後に、CELADON:FLATにご興味のある方が居たらどのようにお声掛けしますか?

勇人さん:

やはり貫入が魅力ですよね。作り手の思うとおりにはならない形だと思っていて。

だからこそ、鑑賞する側は、必要以上に作者の意図を考え理解して感想を述べなければいけないというようなプレッシャーは要らないですよね。

シンプルに、自分が思うように感じて発信すれば良いので、プレッシャーなく鑑賞することができるのは、アート初心者にとってもフレンドリーな作品だなと思います。

 

もう1つは、シゲ君(※RYUSENDO GALLERYディレクター田中成之)と話すことではないでしょうか。

その方の美術に対する思いを聞いた上で鑑賞すると、また違った見方ができますし、自分では気がつかなかった魅力に気付けますよね。

全く異なる角度で、異なる美術の見方というのは、無限にあるはずなので。

CELADON:FLATに限らず美術品の購入を検討されている方は、美術に対して熱量の高い方とお会いして話を聞くことが大事だと思いました。

 

裕女さん:

日本の作品は内に秘めた美しさがあるなぁと、CELADON:FLATを見るたびに感じます。

自由なインスピレーションも与えてくれますし、心地よい時間が静かに流れているようです。

 

——本日はお話を聞かせていただき有難うございました。

繭山龍泉堂本店の応接室にもCELADON:FLATが掛けてありますので、お立ち寄りの際にご覧いただけたら嬉しく思います。

伊藤秀人 Ito Hidehito

1971年岐阜県多治見市生まれ。多治見市陶磁器意匠研究所を修了。国内外の公募展で賞を受賞し、2014年第61回日本伝統工芸展では宮内庁買上げ、2017年には日本陶磁協会賞を受賞。特に青磁作品の制作を得意とし、その古典的な技術の探究と表現に力を入れている。
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